ドイツでは買ったケーキを客には出せぬ。

ドイツでケーキを買うのは恥。特に客には出せぬ。
と題して日記を書いたけど。

タイトル的には、このトピックの方が合っています。

今日は現代における ドイツケーキ文化論。

日本では、ケーキを買うのって、別に何ともない行為ですよね。

特にお客様が来たときに
ケーキ屋さんのケーキをおだしする、
普通のおもてなしの一つです。

ドイツ、特に南西ドイツ、シュヴァーベンと呼ばれる地方では

お客様に出来合いのケーキをお出しすることは、
失礼なことだと思われている場合が多々あります。

ドイツとて
生活習慣が多様化して、個人的な志向が尊重されるようになった現在、

働く女性が増え、
また、たとえ専業主婦であっても、
「私はそんなことに時間を浪費したくない」という確固としたポリシーを持って
暮らしている方もいらっしゃり、

実際にケーキ屋からケーキを買ってきて
お客様に出しても、

後ろ指を指されることはもはやないでしょう。

今日では、このようなことについて文句を言う方が非難を受ける、
そういうコンセンサスができあがっているからです。


ただし、このようにもてなされたお客様が
心の中でどう思っているかは、また別の話です。

インタビューしたところによれば、
買ってきたケーキを出された場合、

何だか、
手作りのケーキでもてなされたときより、
軽んじられた感じがする。

という答えがありました。


ドイツではお客様に買ってきたケーキを出さない方がいい。

という生活習慣の根底にあるものは、
今では恐らく、
この、時間をかけてもてなそうとするかどうかという態度です。
手作りか否かで、知らず知らずのうちに、
もてなしの重要度を測っているのですね。

一昔前は、
これに加えて、主婦のモラルというものがありました。
手作りを出せなければ、恥である。というものです。

主婦はケーキを手作りするもの、できるもの。
買ってきたケーキでもてなすなんて、主婦の風上にも置けない。

更に、このあたりは節約が徳とされている地方。
ラインラント地方になると、気前の良さがチャームポイントになるんですけど
このあたりは、少し周りよりも多く出費すると
「浪費」
というレッテルが貼られがち。

そういうわけで、お金持ちがコンディトライ/高級洋菓子店で
きれいに飾り付けられたケーキをぽんぽん買うのは
あまりいい感じに受け取られません。

そんなこんなで、ケーキは手作り・・・
ということになっているわけですが。

この習慣はいつ頃から定着したのかと言えば、
実はそれほど古くないんだなぁ・・・
これについてはまた改めて。

2007年9月7日















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